「高橋さんってさ、なんか最近ダサくなったよね。つか初めに戻ったって感じ」

授業中、西田桃がそんなことを言い出した。私は、話し掛けられたこと自体が意外過ぎて、その発言が失礼だってことに思い及ぶことも出来なかった。

「それなりに頑張ってたのに、何で?」

「……別に、無駄なことは止めただけだよ」

「無駄?」

「そう。もうどうでもいいの。私が頑張ったところで、どうせたかが知れてるし」

「無駄では、ないんじゃないかなあ」

西田桃はプリクラ帳を閉じると、黒く縁取られた大きな瞳を私に向けた。

「桃は、前の高橋さんの方が好きだったけど。きっと、無駄なことなんてなんにもないよ」

私は一瞬唖然としてしまった。

「……に、西田さん、なんかキャラ違くない?」

「そ?どの桃も本当の桃だけど」