「なー、見ーせー」
「髪黒くしたら見せたる。」
「〜〜ッ!!わかった!黒くするから、」

とりあえず、見せて?
出た。
出たよ、必殺「とりあえず」。
昔っから「とりあえず」や。
何が「とりあえず」やねん。
わけわからん。
…でも、一番わけわからんのは、

「…しゃーないなぁ。何?国語?数学?」

それで許してまう自分。

「っしゃあ!!全部見せてく」
「あほんだら!一個や!!」

べしん。
思わず少し高いタクの後頭部をしばく。
何が全部や。どあほ。
痛いわぁ、なんて
あほらしくあほみたいに
あほな演技で
あほの一つ覚えみたく
痛い痛い言うてる
このあほをどうしたら。
嗚呼、なんかあほあほ言うてる
うちがあほみたいやん。

「イタタ…、ほな、数学見せて。」
「分かった、数学やな。」
「ありがとー!!ミドリ愛してん」
「キモい言うてるやろ。」

古びた校門をくぐって、
予鈴を聞きながら教室へ駆け出した。