「ひかりちゃん、こっちこっち!」

'しゅうちゃん'と仲良くバーカウンターに座ってるマリカがあたしを見つけて手招きする。

結局あたしはレオと2人きりの空間に耐えられなくて、無理やりレオを引き連れてマリカを探しにきた。

きっとレオはマリカに気を使うフリをしながら、自分がこの光景を見たくなかったっていうのもあると思う。

ごめん、レオ。

あたしは、心の奥底でもっと傷ついて欲しいって願ってる、最低な女なんだ。

もっともっと2人を見て、マリカを諦めようって思えるぐらい傷ついて…


ホント最悪だな、あたし。

「いつの間にかいないんだもん。あたしも誘ってよー。」

あたしはワザとふくれて見せたけど、マリカは終始ご機嫌でニコニコ笑ってる。

「ごめーん。ひかりちゃん、さっきのバンドに見入ってたからさ。」

そう言った後、マリカがあたしの耳元に顔を近づけて、あたしにだけ聞こえるように囁いた。

「それに、ひかりちゃんとレオ、ライブ中いい感じだったじゃん☆」


驚いて彼女のクリクリした茶色い瞳を見上げると、意味ありげに笑ってた。