「まぁまぁ。でも楽しくなかった?あのバンド、結構いい演奏してたしな。当たりだよ、お前。まぁ初めはこの観客のノリに慣れてないと戸惑うだろうけど、そのうち慣れるって☆」
レオが楽しそうに笑った。
よかった、どうやら少しは機嫌が直ったみたいだ。
「まぁ確かに、あのバンドは良かったけど。」
素直になれないあたしはそれだけ言ってそっぽを向いた。
ホントは良かったどころじゃない。
すごく惹きつけられた。
目が離せなくなるほどに。
会場の一体感も、あたしをゾクゾクさせた。
こんなにワクワクした気分にさせられたのは、初めてな気がした。
「ってか、マリカと彼は?」
ふとあたりを見渡しても、いつの間にか二人の姿が見えなくてあたしはレオに尋ねた。
彼女から目が離せなくて、周りを見てる余裕なんてなかった。
「あぁ、あいつらはおとなしく後ろで見るっつって、始まってすぐフロア抜けてったよ。」
「マジ?気づかんかったー!ってか言ってくれたらあたしも後ろで見たのに…。」

