あっという間に、名前も知らない彼女達の演奏は終わった。
HOHが出てくるまでには20分ぐらいの時間がある。
彼女達がステージ上からいなくなった所で、ステージの明かりが消え、変わりに観客のいるフロアが明るくなる。
と同時にさっきまでぎゅうぎゅう詰めだった人も広がり、トイレだとかタバコだとか、ドリンクを飲みに行ったりとフロアから出ていく。
ようやくレオがあたしを離してくれる。
「ってか、すぐ離してよね。ったく。」
照れかくしもあって、あたしはこんな可愛くない言葉を言ってしまう。
いつものことだ。
「お前危なっかしいんだよ、あのままだったら転けて踏まれてるって。窒息死とかしゃれになんねーし。」
レオが涼しい顔して言うからなんかムカついた。
この男は誰にでもこーゆーこと出来ちゃうヤツだった。
そんな行為にいちいち自分だけドキドキしてしまうのが情けない。
「…だからあたしは来ないって言ったんだよ。こんな激しいなんて聞いてない。」

