「入学式………」
急に男が口をひらいた。
「行かないの?」
顔を私の方へ向け、聞いてきた。
……
「うん。」
男から目を反らし外を見た。
「そう」
男の方を見た。
「そっちは?」
男に聞く。
「え?」
「いいの?入学式出なくて。」
わかってる。出ないからここにいるんだ。
「うん、いいんじゃない。」
……いいんじゃない、って。
「そっか。」
「うん。」
「てゆーか、名前。」
「え?」
「名前なんて言うの?」
…名前なんて聞かれると思わなかった。
「……玲」
「…そっか、玲…レイね。」
「うん。」
「そっちは?」
「…俺は…蓮。」
名前似てる。
なんて……どうでもいいか。
「…蓮。…レン。」
「うん、てか名前似てる。」
「わ、わたしも思った。」
「ははっ、じゃぁ似たものどうしで」
「似たものどうしって…名前だけじゃん」
そうだよ、名前だけ。
「うーん、そうかな。」
そう言って彼、蓮はまたあの嫌な笑顔で私に笑いかけた。
