一人になれるところ。
一目につかない場所。
…………そうだ屋上。
だけど開いていないんじゃないだろうか。
最上階のこの階なら階段を昇ればすぐだし、
でも屋上なんて普通閉まってるもんだし。
なんて思いながらも屋上の扉の前まで来た。
ノブに手をかける、
カチャ
……
ガチャガチャ
………
「……やっぱり。」
開かない。
なんでかわからない、今この瞬間すぐにでもここを出たい。この扉を開けて外へ行きたい。
扉が開かないと確信しか後にそんな気持ちが膨らんで無性に悲しくなった。
諦めて振り向く。
「あっ、」
ここ、ここは人がいないじゃん。
屋上の扉の前。
いい場所じゃない。
屋上には出たい気持ちは閉まってここでお昼にする事にした。
壁に寄り掛かり座り込む。
音楽を聞こうとポッケからプレイヤーだそうとすると、こっちに向かって階段を昇ってくる足音がした。
しかも一人じゃない。
男女の声がする。
これはヤバいのか?
来る。
「何だ、人いんじゃん」
どうやらカップルのようだ。
「うーわてゆーか藤崎玲じゃん」
私の顔を見るなり彼氏のほうが口を開いた。
は?何で名前しってんのよ。
誰よあんたは。
私は場所を変えよと立ち上がろうとした
「本当だー!本物だー!!ってー場所変えなきゃー」
彼女がそう言った。
「まじやべーな!」
「ちょとー何見とれてんのよ!行くよ!」
「…あぁ、おう!」
なんて、いわゆるギャルとギャル男なんて言われる分類であろうカップルが立ち去っていった。
場所を向こうが変えてくれるなんて良かった。
てゆうより、先に来ていた私に譲るのはいくらなんでも当然か。
立とうとした中途半端に持ち上げた腰をまたおろす。
