「で? 作るの? 作らないの?」



なんで俺が寿梨のご機嫌伺いを?



なんて毒づいてみようとした瞬間、保健室で見た寿梨の笑顔が頭を掠めた。



……やっぱり、寿梨の喜ぶ顔が見たい……気がしないでもない。


「……作ります」


誠心誠意真心込めて……なんて言うつもりは無いけど、俺の悪い印象を少しばかり払拭して欲しいって目論見はある。



それに……捧げる花を自分の手で作るのも趣向としては悪くはない。



「まぁ。せいぜい頑張って」


サテン生地を握る俺に、やっぱり感情なんて微塵も感じられない無表情の励まし。



でもコイツ、素の俺をえらくあっさり受け入れてくれたな。


懸念していたより呆気なくて、でも……なんか胸と肩がちょっと軽くなった気がする。



「……あのさ」


「なに?」


「それは勘弁して欲しいんだけど……」


「却下よ。ミスター猫かぶり」



絞った裾がヒラヒラしたかぼちゃパンツに白タイツを俺にあてがう君原妹は、眉を上げて不敵に笑う。



……やっぱり、コイツは油断ならん。



さっき取れた胸と肩の重石は倍加して再び俺の元へと戻ってきた。