そもそも。
コイツが迫ってるなんて言わなけりゃ、あのまんま俺と寿梨は上手くいってたのに。



そしたら俺は寿梨に…………寿梨に、なに?



自分で自分の言葉に疑問が湧く。



俺は寿梨に何か言いたかったの……か?



「好きな人に贈る花なんだから」


「好き!? だ、誰が寿梨なんか……」


「……青年と姫のコトよ」


「あっ……」



冷静な君原妹の言葉で我に返り、



「…………ふっ」



嘲笑うような生温かな微笑で、一気に顔面が赤らんだ。


頬も頭の中も発火してんじゃないかってくらい、燃えるように熱い……。



「大城くんって意外と純情なのね。見かけによらず」



「……ほっといて」



「あら。いつもの透かした作り笑顔より良いけど」




サラリと言い切った顔はいつもの冷静な無表情で……。



何もかも初めから見透かされていたようで、なんだかコイツには頭が上がりそうにないってコトを悟る。




人気者の模範生徒の仮面が、徐々に剥がれ落ちていく嫌な予感が胸に広がった。