「じゃあなんでー? めちゃ嫌がってたじゃん。澪斗の手払ってさ」


「あ、あれは……その、恥ずかしくて……つい、とっさに」



そう言った寿梨の目が潤んでて、そこに映る俺が大きく揺れてた。



揺れてんのは寿梨の瞳か、はたまた俺の瞳か……。



ふるふると体を震わせた寿梨が肩を縮こませ、白い頬を真っ赤に染めている。



視線を感じてチラッと那津に目配せしたら、嫌な嫌なニンマリ笑いで俺を見て、自分の頬を人差し指で差した。



赤いんだろな……俺の顔も。



でも今はそれどころじゃない。



「じゃあ……ハンカチは?」



この際、心の中に残ってたモヤモヤを解消させてしまいたい。



自分の知らない話題で不思議そうに俺と寿梨を見比べる那津に構わず、真っ直ぐに寿梨の瞳を見つめた。



それでもっと寿梨の顔が赤くなった後、


「あ、あれも……大城くんに、直接渡すのが……恥ずかしくて……」



あわあわと声を震わせた寿梨の言葉で、胸が一気に軽くなってく。



なんだ俺……嫌われてない?