「……はぁ」
帰ってからずっとこの調子で、溜め息がひっきりなしに唇から零れ落ちていく。
習慣になっている授業の予復習すら手につかない状態だ。
何やってんだろなー俺。
ベッドの上で仰向けに寝転がり、見慣れた電気と天井を見つめた。
“大城くんって、寿梨が好きなの?”
「っ!!」
君原妹に言われた言葉が不意に頭の中に蘇って、思わずベッドから飛び起きた。
思い出しただけで顔が赤くなるなんて……どんだけ意識してんだ俺。
なんで俺が寿梨なんかのコトを、すすす好きにならにゃなんねんだよ。
全く不可解だ。
俺は人気者の模範生徒で、アイツは陰気なダサ子なのに……。
「寿梨なんか寿梨なんか……」
布団の上で胡座をかき、腕組みしながら唸る俺に、
「寿梨って誰?」
「っっ!!??」
金髪みたいなド派手な茶髪が目の前に居て、如何にも爽やかな笑顔を浮かべていた。
邪魔な長い前髪を結んでんのが更にチャラついた感じを引き立ててる。
大城 清斗(きよと)。
ウチの尻軽な兄貴だ。