音楽室の出口に並んで向かっていた俺たちの目に、
「っっっ!?」
いつから居たのか、扉の傍らでひっそりと立ち尽くしてる女の子が映った。
左右から垂らした三つ編みは緩く長く……そしてダサい。
薄く茶色がかった綺麗な髪を台無しにしてる。
纏まりきらなかった前髪が俯き気味の顔を隠していて、
「……おーい?」
「っ!!」
那津が掛けた声に体をビクリと震わせ、恐る恐る上げた顔には黒く濃い縁の眼鏡が装着されていた。
華奢で色白で、膝丈のスカートがますますダサさを引き立ててる。
「あ、あの……忘れ物を取りに来たら……大城くんと猿渡くんが入ってきて」
てことは、俺たちより先に音楽室に居たのか。
……全然気付かなかった。
気配無さ過ぎ。
「……で、聞いちゃったワケだ。俺たちの会話」
「ご、ごめんなさいっ!! すぐに出るつもりだったんです」
那津の言葉に、しどろもどろになりながら頭を下げる彼女。
悪気は無くてもタイミングが悪い。
このままじゃあ、俺が三年かけて築き上げてきた模範生徒の仮面がパーになってしまう。

