男子、恋をする


主役が模範生徒ならヒロインだってそれに準ずる者を……というのは表向きだけ。


アイドル性抜群の模範生徒の相手役なんて、女子たちにとっては面白くもなんともないのが真理。



それこそライオンの群れにウサギを放り込むようなモノで、実際に選抜された女子は嫌がらせの標的にされて堪るかとその場で即辞退していく。



……まぁ、妥当な判断だと思う。




仕方無く立候補者を募れば、集まった候補者たちの話し合いもとい、校舎裏でのタイマンは学年演劇に並ぶ裏伝統行事だ。


那津じゃないけど、ホント女子っていうのは容赦が無くてえげつない。



男子の前では笑顔でいつもより半音高い声出してるって言うのに……。



なんて思いながら那津につられて溜め息をつけば、



「アンタみたいなチビがヒロインなんて似合わないわよっ!」


「ただデカいだけのペチャパイがドレスなんて着こなせるワケないじゃない!」


頭上の窓越しにヒステリックなキンキン声が聞こえてきた。