男子、恋をする


昼休みの中庭。
天気も良く、程良い日当たりで過ごしやすいベンチの一つに見慣れた姿を発見し……手頃な木の影に身を潜めた。



「寿梨今日はパンなんだー」


「……寝坊しちゃって、お弁当作れなかったんだ」


「珍しいわね」



……別に寿梨が友達とどんな風に過ごしてるのか気になって、わざわざ探したワケじゃない。



たまたま廊下の窓から見えたから、ついでに観察してるだけだ。
あくまでも……たまたま。



寿梨が小ぶりなフレンチトーストを千切っては口に運んでいく。
ラップにくるんでいた辺りからして、手作りだな。



それを不思議そうにフォークをくわえながら見てる乙部。


「夜更かしでもしたの?」


「……台本読んでたら、遅くなっちゃって」



そう言って小さく笑ってみせた寿梨は、やっぱり表情が柔らかい。



偉い偉いって、頭を撫でる乙部に嬉しそうにはにかんだ顔。


……あんな顔もするんだな。



二人を見る君原妹の目も、今朝見たのよりずっと穏やかだった。