「……何やってんの」
今更コイツらに愛想笑い作ったって仕方無い。
無視するわけにもいかず、とりあえず二人の居る方に歩み寄った。
「紅莉ちゃんが台本出来たっていうから貰いに行ってたんだよー。ねっ? ジュリエットちゃん」
「あっ、はい……」
隣の那津の声に同意して頷いた後、目の前に歩み寄った俺をチラリと窺い、
「…………っ」
目が合った瞬間、すぐさま逸らされた。
「こ……これ、大城くんの分です! ……それじゃあ!」
一切こちらを向かずに差し出された台本を半ば押し付けるように渡し、そのまま寿梨はパタパタと廊下を駆け抜けて行ってしまった。
……間違いなくこれは、
「あらー。えらく嫌われちゃってるねー澪斗」
そう、嫌われてるな……絶対。
珍しいモノを見た時みたいな感心した表情の後で、
「まっ、あんだけ澪斗のヤなとこばっか見せられたら嫌いにもなるよね」
サラッと那津に言われた言葉が胸に刺さった。