男子、恋をする


会長の手に渡ったプリントを乙部が覗き込み、


「うちのクラスの文化祭の出展申請じゃない」


「文化祭実行委員の人に、渡しといてって……頼まれて」


「そっかそっか。ありがとねー」


使いパシリさせられた寿梨の労をねぎらうように、頭をポンポンと撫でてやる。



……あっ、あの顔。




それをくすぐったそうに受け入れ、乙部に笑い返す顔は初めて会った時に見せた柔らかい顔に近い。


「……澪斗きゅーん?」


思わずぼーっと見つめていたら、不意に那津と目が合った。



何か言いたげにニヤついてるのが鬱陶しい。

思わず軽く舌打ちをついた。



「このスペシャルサプライズっていうのは?」


黙ってプリントに目を通していた会長の眉が動き、怪訝そうに顔を上げる。



「一部を当日まで非公開で、秘密にしておくって……」



それに慌てて答える寿梨は、いつもより饒舌に見えるのは気のせいか。



気が付けばまた、ぼんやりと寿梨を見ていた自分に気付いて慌てて視線を外した。



……何やってんだ俺。