寿梨の瞳がビクビクと泳いでて、じっと見つめてるはずの俺と上手く視線が重ならない。



「あの……さっきのコト……謝りたくて」


「謝る?」


「なんでジュリエットちゃんが? 澪斗のコト庇ってくれたじゃん」



淡く赤い小さな唇が微かに震えてて、なんでなんでと詰め寄る那津に戸惑って……なんか金魚みたくパクパクしてる。



言いたいこともろくに言えない。


こんな奴に庇われたなんてやっぱり情けないかも。



「あの、余計なコト言って……ごめん、なさい……。それじゃあ!」



「あっ」



そして、今度は言いたいことだけを言って、そそくさと生徒会室に戻って行ってしまった。



「……何がしたいんだ」


「一生懸命庇ってくれたのに澪斗が文句言うから。あーあー可哀想」


閉じかけの生徒会室の扉に目をやった後、恨みがましそうな那津の目が俺を睨み付けてくる。



……一生懸命。



庇われて謝られて……やっぱり情けないとか恥ずかしいって思ってる。


でも。
たどたどしく必死に声を出す姿は一生懸命で……。


それが俺の為だと思ったら、ほんの少しだけ嬉しく感じる自分が居た。