「知らない。あっちが勝手にやったことだろ」
恥ずかしいのを隠すみたいにこう言ってふいっと視線を避けたら、
「ぶーぶー。可愛くねーの」
呆れたような溜め息とアホみたいな声が返ってきたから、やっぱり無視。
そんなお子ちゃまな那津を置いてスタスタと歩いていけば、
「だってさ。せっかく勇気出して言ってくれたのにごめんねー、ジュリエットちゃん」
「……い、いえ」
「っ!?」
聞き覚えのある声が微かに聞こえて、恐る恐る後ろを振り返る。
まさかこの展開は……。
「ぅっ……」
あぁ、やっぱり……。
いつ追ってきたのか、少し息を切らせた寿梨が那津の隣に居る。
那津はいつから気付いていたのか、多分また会話を聞かれていたらしい。
……最悪だ。
「なんで……」
びっくりし過ぎて上手く声が出ない俺を、俯き加減で黒縁の隙間からチラリと見上げていた。

