男子、恋をする


「澪斗は自分のコトばっかり気にしてるから逆に周りのコトぜーんぜん知らないんだよ~。ごめんねー俺の教育が行き届いてなくて」



ケラケラと笑う那津に軽く殺意を感じつつ、引きつった愛想笑いを浮かべる俺。



那津に言い返せないのが癪で癪で仕方が無い……。



だって。
俺から必要とする人間なんて居なかった。


何でも自分で出来る。
だから周りなんて……必要なかった。



俺に頼ってくる奴は居ても、俺が助けを借りる必要なんてなかったし。


愛想笑いの裏で、羨望の眼差しを受けながらずっとそう思って見下してた。


……必死で足掻いてる奴らのコトを。



「で、でも!」


いつの間にか静まり返っていた部屋に、絞り出すような細い声がにわかに響いた。


全員の視線が一気にそちらを向く。


声の主は、緩く長くダサい三つ編みと肩を小刻みに震わせた寿梨だった。