こうすれば、内部からの進学者が少しでも増えてくれるんじゃないかっていう客寄せパンダな目論見があることは……まぁ、見て見ぬ振りの暗黙の了解。



それだけこの高校では、学年演劇の主役というモノは特別な意味やアイドル性がある存在というワケだ。



まぁ、このオプションは俺にとっては二の次でしかない。



この魅力的なオプションを蹴って、更に上を目指すのが俺の目標。



だってその方が普通に良い大学受けるよりカッコイイし。



つまり、学年演劇の主役って称号は、それを引き立てる為のモノでしかないってコト。



それに。
これくらい大きなコトをしないと満たされないし面白くない。



文武両道な模範生徒の中でずっと燻ってるモノ。



何をやってもそれなりにこなせてしまう物足りなさ。



必死でもがいたり足掻いたりしてる人間を、哀れむ反面羨ましくも思える自分は……贅沢な人間なのかもしれない。



って、絶対口が裂けても言えないけど。



とにかく熱く満たされるモノが欲しい。



職員室の扉の前で一礼しながら、頭の片隅でそんなことを考えていた。