男子、恋をする


「卵粥じゃないから気に入らないの?」


「っぷは! そこじゃねぇよ! いいから放っとけよ……」


顔を背けた俺が気に入らなかったのか。
君原妹が差し出していたスプーンを強引に唇に押し付け、口の周りが粥だらけになってしまった。


我ながら大人げない。
意地張り返して粥だらけになって破れかぶれだ……。


粥を拭おうと右手を口元に持っていこうとした時だった。


「……ごめんなさい」


「……えっ」


「大城くんに面と向かって苦手だって言われたのが哀しかったの」


「えっ!? ゎっ!」


右手が君原妹の左手に掴まれ、ポツリと囁かれたかと思った次の瞬間。


粥だらけの口元に柔らかい感触が広がって……思わず全身が硬直した。


唇に触れた甘い感触。

鼻先をくすぐるシャンプーの匂いはやっぱりフローラルだ……。