「38度5分……純然たる風邪だね」
「……とりあえず今は休め。楽になったらタクシーで送る」
「…………」
翌朝9時。
劇の練習に向かうべく制服に着替えた会長とバカ那津が、主役のはずなのに布団から起き上がれない俺を傍らから見てる。
会長が持って来てくれた冷却シートを額に貼り、はぁっと熱い息を吐いた。
劇の練習の為の一泊二日の合宿だってのに二日共ぶっ倒れるなんて……不甲斐ない。
「バカだな~澪斗きゅんは。明け方近くまで外に居るなんて」
「……寝付けなかったんだよ」
「鮎花が変な意地を張ったせいだな。すまん」
「会長も鮎花姐も悪くないよ~。元はと言えば澪斗のおバカさんがニブチンだから」
「……うるせぇなっ。イイから練習行けよ」
うるさく喚く那津に吐き捨てて掛け布団を頭からすっぽり被った。
寝付けなかった理由は会長の指摘通り鮎花のことが気になったから。
どうやったら許して貰えるのか……。
これが頭の中でグルグルと回り続け……結果オーバーヒートで発熱だ。