男子、恋をする


さっきから顔色一つ変えなかった会長と寿梨の友達鮎花も、さすがに眉をピクリと釣り上げてる。



会長みたいな真面目で堅物な人間には、那津みたいなちゃらんぽらんは理解不能の塊に見えるんだろう。



「なんで寿梨がヒロインを?」



案の定。
眉間にシワを寄せ、壁にもたれていた体がカツカツと那津の方へと歩み寄っていく。



……ここで会長がキレて、学年演劇が中止なんてことになったりしたらどうしよ。



頼むからこれ以上会長を刺激しないで那津くん……。



祈るような気持ちで、扉の前に居る那津を見つめるが、


「だってジュリエットちゃん超地味……じゃなくて大人しいから、ヒステリックな女子たちも戦意喪失しちゃうじゃん? それに、大城 澪斗直々の推薦って言えば博がつくし」


「サラッとうちの寿梨をバカにしないで頂戴」



俺の心配なんてどこ吹く風。
饒舌にペラペラと喋り続ける那津に、今度は寿梨の傍らで鮎花が眉を顰めた。



……いくら言い直したからって、超地味なんて言われて嬉しい言葉じゃない。



それに俺としても気まずくて仕方無いから、寿梨とはもう関わりたくないワケで……。