「あらら……さっきので最後だったみたいね、ご飯」
調理室に駆け込んだ俺たちの目に入ったのは、綺麗に片付けられた炊飯器の釜だった。
おそらく寿梨がおにぎりを作った後に片付けたんだろう。
せっかく恥を忍んで決意したってのに……完全に空回りだ。
愕然と冷蔵庫に手をついてうなだれる俺に、
「……あっ! さっきのおにぎりを解して焼き飯かなんかにすれば……」
妙案を思い付いた乙部が手を打って笑いかけてきた。
おぉ!
いつもの乙部からは考えられないナイスアイデアだ。
女版那津の汚名は返上してやろう。
なんてどうでもいいことを思いながら、早速焼き飯に取り掛かろうとフライパンやら何やらを用意しようと動き出したその時だった。
「えー。そうと知ってればこんなことしなかったのに~」
「……えっ?」
俺と乙部の背後から聞こえた那津の間延びした声に振り返れば、
「もう要らないと思って食べちゃったんだよねぇ~。にゃはは~」
「なっ!?」
いつの間にか俺の手から取り上げたおにぎりを、いつの間にかペろりと平らげた那津が悪びれた風も無くバカ面で笑ってた。

