「なんで俺が食べるんだよっ。俺ちゃんと夕食食べたし」
「寿梨が作ったものなら食べれるでしょ。お腹一杯でも」
「はぁ? 何言って……」
「わたしに構わないで結構よ。大城くんは寿梨のことだけ考えてなさいな」
睨みつけるような眼差しで俺を見上げた君原妹は、そのまま足早に部屋の中へと入って行ってしまった。
……なんだこれ?
状況が全く掴めない俺は廊下におにぎり片手に立ち尽くした。
呆然と君原妹の消えた扉を見つめる俺の背後で、
「あーあ……なんでこのタイミングで寿梨の名前出すかなー」
「だから澪斗は童貞なんだよ」
覗き見してたKYバカコンビの大きなコソコソ話に、
「童貞関係ねぇし!」
なけなしの気力を振り絞ってツッコんだ。