男子、恋をする


一人期待に胸を膨らませる俺を、


「鮎花ちゃん、夕食を摂ってないから……」


「……はっ?」


「その……これを、大城くんに渡しに行ってもらえない……かなって」


奈落のどん底に真っ逆さまに突き落とした。


寿梨おまえもか!


寿梨が俺に声をかけた理由は例に違わず、君原妹に関するものだった。


チクショー……なんで忘れてたんだ。
大人しくて人見知りの寿梨が俺に話し掛けてくる理由の9割が君原妹絡みだってことを……。


期待に胸躍らせた10秒前の自分の馬鹿さ加減に腹が立った。


「なんで俺? 俺が行ったら余計に嫌がると思うけど……」


「でもあの……何かきっかけがあった方が、話しやすいと思って……お互い」


俺の問い掛けに寿梨は目を泳がせながらも必死に言葉を紡い。
……親友の為に。


なんで気付かないかな……。
つーか、なんで忘れてたんだ。


いつもは人見知りでキョドキョドしてる癖に、困ってる人は放っとけない難儀な性格ってことを。