男子、恋をする


童貞は関係ねぇだろ!


すかさずツッコんでやりたかったが、一瞬のことで反論すら出来なかった……。


それにいつものバカ那津らしくないあの態度も調子が狂う。


「大城。早速だがダンスの場面からいけるか?」


「あ、あぁ。大丈夫……」


舞台に立ち尽くしていた俺を袖から会長が呼んだ。


会長の指示で隣に居た寿梨がいつものぎこちない仕種でこちらに向かってくる。


……いつの間に会長の隣に居たんだろ。


保健室から舞台に戻ってきて数分は経ってるけど、寿梨の存在を全く認識してなかった。


だって今は嫌でも頭の中を君原妹と那津が占めてる。


「あの……大城、くん?」


「あっ、悪い」


ダンスをするべく目の前に寿梨が怖ず怖ずと差し出した手が宙ぶらりんになってた。


それを慌てて掴んだところで乙部の声が響き、ダンス用の曲がスピーカーから流れ出してきた。