顔の前で両手を合わせ、大袈裟に謝ってみせる乙部を見下ろす彼女はさっきから顔色一つ変わらない。
……まるでどっかの誰かさんみたいだ。
そう思って相変わらず壁にもたれかかったままの会長を見ようとした時だった。
「見つけたのは寿梨だからお礼なら寿梨に言って頂戴」
連呼された名前に思わず隣の那津を見れば、同じタイミングでこっちを向く。
まさか昨日の今日であのダサ子に会うワケがない。
偶然偶然……。
それでも顔を見るまでは安心出来ず、隣の那津と同時に首を伸ばせば、
「あーっ! やっぱり!」
俺より先に扉の影を覗き込んだ那津が、嬉しそうな声を上げて立ち上がる。
いや、見えねーよ……。
視界一面が興奮した那津の背中で塞がれて、パイプ椅子をぐっと後ろに引いた。
那津の背中からぐいっと顔を出した俺に、
「っ!?」
乙部と鮎花とかいう女子に挟まれていた音楽室のダサ子は、那津を見つけて驚いた顔を……俺を見て凍らせた。
その顔はまるでこの世の終わりみたいで、俺だって同じだって叫んでやりたかった。
いや、無理だけどさ……。

