男子、恋をする


君原妹に強気に出たのが功を奏したのか。

俺が1時間ぶりに戻った舞台では、ちょうど青年と姫のダンスシーンの練習に入る直前だった。



……間に合った。
ようやく低迷しまくっていた運気が上向きになってきたみたいだな。



「大城っ」


「大丈夫~? 昨日から倒れっぱなしだけど」


「……はは、もう平気だから」



舞台裏に現れた俺を驚いたように呼ぶ会長と、乙部のいらん一言が耳に飛び込んだ。


苦笑いを浮かべて返答を返す俺を那津が目敏く見つけて駆け寄って来る。


つーか、元はと言えばコイツが台本の代わりにあんなモノを持ってきたりしたから……。


これ以上は絶対関わらん。
いつも思ってるけど今日こそは絶対の絶対だ。


俺の中でバカ那津無視が決定した矢先。


「鮎花姐は? 一緒だったんだろ?」


珍しく悪ふざけナシの真顔をした那津が第一声でこう問い掛けてきた。


まぁ……これもコイツの作戦かもしれんからな。
油断は禁物だ。