せっかく久しぶりにキャーキャー騒がれたかと思えばこれだ……。
やっぱり、コイツに関わるとろくなことがない。


どうせ今だって“大城くんってヘタレな上ひ弱で貧弱なのね”的な嫌味を一言言うためにスタンバってたんだろう。


悪趣味この上ない。


さっさと君原妹と二人っきりのこの状況を抜け出すに限る。



「……練習は?」


「とりあえず飛鳥が大城くんの代役で進めてるわ」


「…………」



よりによって会長が相手役なんて……。


さぞかし寿梨が喜んでるだろうと思ったら居ても立っても居られなくなった。



例え寿梨と会長のダンスの息が合ってようが主役はこの俺だ。
こればっかりは譲れない絶対に!



一刻も早く練習に合流しなくては。


そう思ってベッドから体を起こし、立ち上がろうと床に足を伸ばした。



「貧血なんだから急に立ったら危ないわ。もう少しゆっくりしたら?」


「いい。もう何ともない」



“どうせ飛鳥には勝てないんだから”とでも言いたいのだろうか。


立ち上がった俺に君原妹の眉が珍しく微動だした。