ふんわりとした感覚が全身に巡っていた。


なんかいわゆるフローラルの匂いが鼻を掠める。


……あぁ、とうとう俺ストレスの溜まり過ぎで死んだんだな。
じゃなけりゃ今こんなに心も体も心地好いはずがない。



フェードアウトする直前に感じた全身の倦怠感は随分とスッキリしていた。


目の前にはまるで天国のような素晴らしいお花畑でも広がってるんだと思い、ゆっくりとまぶたを持ち上げた……瞬間だった。


「…………」


「あら、起きたの?」


「っっっっ!?」



俺の眼前に広がってたのはお花畑ではなく、何故か最強で最凶のポーカーフェイス。


……まさに天国から地獄とはこのことだ。


リラックスしていた全身に一瞬にして冷や汗が流れはじめた。


最凶のポーカーフェイスから視線を外せば、そこらへん一体が白一色。
壁には視力検査用のCが羅列していた。


言わずもがなで保健室だ。


「先生曰く寝不足と貧血ですって」


どうやら朝一から舞台上でフェードアウトして保健室に運ばれたらしい……。