男子、恋をする


いくら願った所で俺の願いは叶うはずもなく、



「おはよう。人気者の大城くん」



口をあんぐりと開けたまま立ち尽くしてる俺の前に回り込んだポーカーフェイスがこちらをじっと見つめていた。



せっかく取り戻した自信がコイツの顔を見た途端に、膨らんでた鼻の穴と共に急激に萎んでいく。



「うっ……」



合宿はまだ始まっても無いってのに、朝からこれ以上コイツと関わったら俺の精神は確実に持たん。



俺を見据えてくる瞳から視線を外し、君原妹の脇を摺り抜けてやり過ごそうと足を踏み出せば、



「つれないわね。女の子の大事な所を傷付けた癖に」


「わっ!! バカッ!! 何言ってんだよ!!」



ポーカーフェイスを毛ほども崩さず、淡々とした口調でぶっ飛んだことを言い出すから、思わず声を荒げてしまった。



こんな取り乱した姿を見られてはせっかくのアイドル像が崩れてしまうじゃないか!



慌てて辺りを窺ったけど、ここには君原妹と俺の二人しか居ないようだった。