「ありがとう。こちらこそよろしくね」
「は……はいっ! キャーッ」
本領発揮と言わんばかりに、俺の中での最高の爽やか笑顔をバシッと貼り付ける。
それを目の当たりにしたエキストラたちが一斉に歓喜の色を示した。
やはり俺はアイドル的模範生徒だ。
例え……女子との交際歴が無かろうと童貞だろうとそんなことは取るに足らんのだ!
だいたい、アイドルってのは純潔がウリだろ。
浮いた話一つ無いからこそ淡い夢を抱かせることが出来るのであって……。
だったらむしろ童貞でいるべきというか。
童貞であることが不可欠な要素ではないか。
だったら俺が童貞であることも必然的としか思えない。
「ふふっ」
脳内でひとりごちながら鼻の穴は膨らんで完全に調子に乗りまくりだった。
思わずこっそりとほくそ笑む俺に、
「ムッツリね、そんな笑い方」
「ッッ!?」
いつの間にか背後に現れた凶悪なオーラが全てを一掃した。
この邪悪なオーラは…………。
振り返りたくない振り返りたくない振り返りたくないんだよ!

