バカ兄貴の奇行のせいで昨日は散々な目に遭った。
逃げるように階段を駆け降りていった渚を捕まえ、トクトクと清斗がバカなコトを改めて説明すること30分。
「澪兄は頭も顔も良いし真面目だから渚は信じるよ」
「……そうか、さすが俺の妹だ。渚は賢いな」
にっこりと笑ってこう言ってくれる妹は、バカ兄貴と違ってやはり俺を慕ってくれていた。
日頃の行いが物を言うとはまさにこのこと。
俺のような模範的優等生には普段から積み重ねてる行いの良さが滲み出てるらしいな。
最近は専ら生徒会室の面々にいじくりまくられるばかりで、爽やかな優等生の自分に自信を失いかけてたけど……渚のおかげですっかり自信を取り戻せたな。
なんて俺の思いを知ってか知らずか。
「でも、渚思うんだけど」
「んっ?」
「澪兄がいつまでもチェリーくんだからあんな風に清兄が世話焼きしてくるんじゃない?」
「…………」
サラリと何の悪気もナシに言われた渚の一言が一気に取り戻したはずの自信を打ち砕いた。
もう、サラサラの粉々に……。