それを太股の間に挟み、


「ここで焦らない焦らない……」


「そんなとこ挟むなよ! お前はホントに……」



真剣な顔付きで装着を試みる兄貴を止めようと慌ててポスターに手を伸ばす…………が。



「清兄ちゃん澪兄ちゃーん。早く降りて来なさいって…………っ!!」


「あっ……」



母親に言われて俺たちを呼びに来た中2の妹、渚(なぎさ)が部屋の中を見て固まる。



前屈みになって太股辺りで両手を構える長兄に、隣でその手元をまさぐる次兄。



マズイ……。

こんなのを多感な思春期の女子が見たりしたら……。



「お、お母さーーーーんッッ!!」


「わっ!! 渚ぁぁ!!」


泣き叫ぶような悲鳴のような凄まじい声を上げながら走り去る渚に慌てて呼び止める。


妹にトラウマを作るワケにはいかない。
それに名誉挽回には手遅れな兄貴と違って、俺の優等生な自慢のお兄ちゃん像を潰すワケにはいかないんだ!


必死に渚を追いかける俺の背後で、



「渚も将来の役に立つから見ていけば良いのに」



なんて呑気に呟いてる兄貴はどうしようもないバカだと、俺は改めて思うのだった。