「ほら。この二人なら息もピッタリだし」
自信満々の顔でポンと乙部が肩を叩いたのは、
「優しくしてね澪斗きゅんっ!」
「待てよ! なんでバカ那津!?」
「だって相思相愛だし?」
「またそのネタを……違うって言ってるだろ!」
他の誰でも無い隣に居たバカ那津その人だった。
しかもまだ前の俺が男を好きとかなんとかいう言い掛かりを引っ張ってやがる……。
もう取り繕うなんてこともカッカする頭に思い浮かばず、立ち上がって全力否定。
「えーっ。面白いからこのままでいーじゃん」
「良いワケないだろっ! お前を相手にするくらいだったら」
自分でも面白がってるってハッキリ言ってのけやがったな……コイツ。
だいたい俺より体が小さくたって那津は男だ。
いくら女顔だからってドレスなんか着られたら、俺は平常心ではいられない自信がある。
絶対に吹き出してしまう。
それこそコントにしか見えないだろ……そんな演劇。
悪乗りで俺の肩を抱いてくる那津を払いのけ、
「こっちのがマシだ!」
勢い任せに指を差したのは変わらずポーカーフェイスを浮かべた君原妹だった。

