「不本意だが……合宿をすることになった」



長机に着席した面々を見渡しながら、ホワイトボードな前に立った会長の口から発表されたことにみんながポカンとしてる。



会長は会長で不本意って口に出さんでも、渋い顔付きから肩を落とした佇まいまで全身から不本意オーラを全開にしてた。



「合宿~? こんな時期に何の?」



会長とは対照的にあっけらかんとした那津の緊張感の無い声が部屋に響く。


隣で同意したように頷いてる乙部をはじめ、俺を含めた全員が会長の答えを待ってる。



確かに。
このメンツで何の合宿をするのかサッパリ検討もつかない。


参加者の誰ひとりとしてその意味をわかってない合宿なんて……する必要あんのか。



なんて思ってたことを根本から覆す会長の一言。



「ここに居る全員がそんなことだから不本意にも合宿することになったんだ! まともな練習をろくにこなせていない。なのに危機感の一つも感じていないなんて……そんなことで演劇が成功すると思ってるのか!」



さっきまでの不本意オーラを超越した怒りが肩を震わせ、聞いたこともない大きな声を上げていた。