ー親愛―





―――――にしても この誤解を解かないと。ってか、多田主任の耳に入っていない事を祈りたいよ…。




私が出社してから一時間後 全体ミーティングが行われた




全体…と言っても施設の半分の職員が集まる




多田主任がいない事を祈りたかったけど…主任だから、そんなワケにはいかない




20人程が入れる会議室 職員皆の顔が見れる様に 輪を描き中心を向いて座る




ミーティングが始まる 五分前にはほとんどの職員が集まっていた




そして 話しのタネに私と多田主任の噂が囁かれていた




“気にしなくてイイよ。人の噂も75日って言うから…”
隣りで三上さんが優しく微笑む



こういう時にそんな言葉を掛けられると すごく安心する







そして 多田主任が入って来る




周りの職員達は 途端に静まり返る




それから30分程ミーティングは行われた




初めての全体ミーティング



ミーティングの内容なんて覚えてなかった


それよりも どうやって誤解を解くべきかで頭の中はいっぱいだった





ミーティングが終り 職員達は堰を切ったかのようにして 座っていたパイプイスをしまい出す




“ほら…この娘でしょ?”



私の真後ろで囁かれる言葉




“八重…。今日、仕事終ったらいつものトコな。”



突然 三上さんが その辺りにいる職員皆に聞こえるように言う



“三上さん…?”



“俺達、付き合ってるんです。だから、変な噂 立てないで下さい”



“み、三上さん?”


“な。八重?”



私は何がなんだか理解出来なかった。



そして 三上さんは私の右手をスッと取り手を繋いで



“これで堂々と付き合える…な。”



笑顔で私に呼び掛ける



そして 職員達の間をすり抜け、多田主任の横を通り過ぎる





…なんだか 少し胸が苦しかった…