ー親愛―





優しく柔らかい光が差し込むフロア




朝食の準備をする職員さん




爽やかに朝のニュースを伝えるアナウンサー




ゆったりとした朝を過ごす利用者さん




そんな中を私は早歩きで多田主任の元へと急ぐ




コンコン ガシャ




カーテン越しに光の差し込む 薄暗い仮眠室




ひとつだけ病室のようにベッドの回りにカーテンが敷かれている



“…多田主任…?”



カーテン越しに呼ぶけど 返事はない




…シャ




カーテンを少しだけ開くと グッスリお休み中の多田主任




“…私。誤解してました……ごめんなさい…。”




寝ている多田主任に話しかける




起きている多田主任に面と向かって言えない臆病者




……………………




“ごめんなさい”




あまりにも気持ち良さそうに寝ている多田主任に 思わずkissしてしまう




“少しだけど。ゆっくり休んで下さいネ”



起こさないように静かに声をかけ 部屋を出る








ただ私は多田主任に謝りたかった




だけど、世間から言えば男と女




男ひとり寝ている部屋に女がひとりで入っていく事が どれだけの事なんて考えてもいなかった