ー親愛―





病院の様にところ狭しと ベッドが四つ並ぶ部屋




その奥のベッドに 手をブルブル震わせて蒼白い顔をした浜砂さん




“ナースに連絡して!”すごい剣幕の三上さん




詰所に戻り 内線の横にあるナースの連絡先に急いで連絡する




手が震えて 思うようにボタンが押せない




“出せ…”




低い声で私の手を掴み ナースに連絡したのは多田慎二だった




多田慎二は 浜砂さんの様子を細かく明確にナースに告げて 指示を待つ




“香坂さん。バイタルをこまめに測って、浜砂さんの体を毛布なんかで温めてあげて…”




ナースの指示を待ちながら 私に指示をする多田慎二の真剣な瞳に 不謹慎ながらもドキッとしてしまう




私は浜砂さんの部屋に向かい 指示通り、毛布で浜砂さんの体を包み 体温と血圧、脈拍などをこまめに測った




ナースが来るまでの間 多田慎二と私は浜砂さんのそばで様子を見ていた




三上さんと相田さんは 他の利用者さんの排泄介助にまわった










それからナースがやって来たのは 30分後だった




30分という時間が とても長く感じた