ー親愛―





私達は何も話さないまま 一時間近くそこに居た




何も話さない事に違和感を感じるどころか、かえって居心地が良かった




…多田慎二…




本当に不思議な人だと彼の横顔を見ながら思う




私が誰かと一緒に居て、尚且つ何も話さなくても居心地が悪いと感じないのだから…




身体の芯が冷えて 震えてしまいそうになる




“寒いから…そろそろ帰ろうか?”




その言葉のタイミングもピッタリ




彼の何もかもに私は惹かれていった