ー親愛―





沙耶が帰って一時間 私はまだファミレスに居た




ファミレスの店員も 『いい加減に帰ろよ』って言いたげに 何度もメニューの注文にやって来る




私はその度に断り続けて コーヒー一杯を飲んだ




気がつけば 夜の7時 周りは家族連れだったり 会社帰りのサラリーマンでいっぱいで 独り客は私だけになっていた




居心地を悪くし 家に帰りたくない重たい腰を上げたその時だった




携帯が鳴る




親かな? なんて思いながらも携帯を開くと《多田慎二》からだった