ー親愛―





“八重あたし、あの人に話しかけて来る”




突拍子もない沙耶の言葉に驚く




“逆ナンするの?”



思わず声が裏返ってしまう




“だ、だって好きなんやもん”




羨ましかった




こんなに自分の気持ちをストレートに表現出来る沙耶が羨ましかった




“だ、だけど。ほら…人たくさんいるし…ね?”




なんだか分かんないけど 小声で話してしまう




“…そうだよね…?”



冷静さを取り戻して いつもの沙耶になる




ごめん 沙耶


ごめん 沙耶


ごめん 沙耶




何度 心の中で沙耶に謝っただろう




私は卑怯者だ




本当なら 沙耶の恋を応援するべきなのに…




私… 応援なんて出来ないよ