ー親愛―





飛行機事故のあったあの日




施設長は 事故の起きた現地に飛んだ




大和は仕事を急遽休んで 私達のアパートで私と二人施設長からの連絡を待った








私はまだ シンが帰って来る気がして仕方なかった


左手の指輪をクルクルと回して シンのくれたハガキをぼんやりと眺めていた






たくさんの電話の音が家の中を鳴り響き


その度に大和が応対してくれた



施設長からの連絡は まだないみたいだった



“大和、お腹減ったでしょ?何か作るね…”


じっとしてはいられなかった




“ああ…うん。”


どんよりと曇った大和の顔



“今日は、天気が良いね…。シンが帰って来たらさ、みんなで海でも行こう?”