ー親愛―





シンがたくさんの話しをしてくれた…あの日から、シンは連絡をして来なくなっていた




なんとなく私から連絡するのも 気が引けて、『元気?』とか『おはよう』とか 簡単な挨拶程度のモノをメールで打っていた




その日は 私もシンも大和も日勤で 曇り空だった




ある職員さんが 慌てふためいた様子で“誰か止めて! 三上くんと、多田主任が乱闘になってるの!!”と みんなに助けを呼びにやって来た




私も その場に居合わせた職員さんもみんな 慌てふためく職員に呼ばれるまま ついて行った








真っ黒の雲が 一面を覆いつくす空の下




何かを叫びながら二人が殴り合っている




やじ馬のようにして見ている人達は あまりにも激しい殴り合う二人を誰一人止める事はしない




一足遅れて着いた私は 耐え切れず 止めに入ろうとした瞬間、後ろから




“こ~ら。皆さん、利用者さんほっぽり出して何してるんですか? あの二人はいつものだから、気にせず仕事に戻りなさ~い”


その場にそぐわないぐらい落ち着いていて、腑抜けた施設長の話し方




みんなは“な~んだ。心配して損したよ”って口々に話しながら 持ち場に帰って行く




そして、施設長はみんながいなくなったのを見計らって“止めろ!!仕事中だ”と半分笑いながら 大和とシンの間に入り込む




施設長が止めに入って、殴り合いは止まる様子もなく シンも大和も 顔中、傷だらけで目や口の端から血が滲み出ていた



“お願い。もう止めて!”


三人の間に割り込んで行くけど 男の力にはかなわない




スローモーションみたいに見えた大和の拳が私の頬に見事命中して











倒れたらしく、気がつくと 三人が私を囲んでいた



“香坂さん、大丈夫?”

心配そうな施設長の顔





“八重?”


これまた心配そうな顔の大和




“悪りぃ”


バツが悪い顔のシン