ー親愛―





唇は塞がれ 身体に上手く力が入らず肩に掛けていたカバンが鈍い音を立てて落ちる




目を閉じると、服の上から触られているハズなのに 生身の私をさらけ出している気分になる




私は自然と多田主任の背中に腕をまわしていた




“シン…”




多田主任の頭を抱きしめ、天を仰ぐ




冷たい雫が 空から降って来る




“愛してる…”




その言葉の後 私を求める手の動きが止まる




“………………やっぱり、抱けない…”




“ど、どうして?”




“悪りぃ”




この人は いつもこうだ。人の気持ちを掻き乱すだけ掻き乱しておいて、最後には“悪りぃ”の一言




“どうして?私をめちゃくちゃにしてよ!もう、私の中はシンでいっぱいなのに…”




足腰に力が入らず その場にしゃがみ込む私を長くて太い腕で包み込んで、こう呟いたんだ








空から降ってくる雫の音に 消されてしまいそうな声で………………