噂の５人は謎多し!?

１人取り残された涼輔は少し戸惑っていたが、嬰治に言われた通りに部屋を出て行った。

屋敷の中は何カ所も争った跡が残っていた。その中には血で赤く染まった壁や床などもあった。だが、涼輔が出口まで行く道のりの間で誰一人と会う事はなかった。嬰治が言っていた仲間達の手助けだろうと分かった。

涼輔が屋敷を出て後ろを振り返った。屋敷は何事もなかったかのように静かだった。


「嬰治……」


涼輔は嬰治の名前を心配そうに小さく呟くと、必死に走って帰って行った。

家に帰り、涼輔は部屋で１人考えていた。嬰治の事、これからの事……何をすべきかを考えた。


「――嬰治、大丈夫だといんだけど……」


涼輔は心配そうに月を見ていた。一方の嬰治はその全員を殺し終え、自分が使っていた氷の剣に付いた血を布で拭いていた。そこに茶髪の同じくらいの年の青年がやってきた。


「何やってんの？」

「見て分かれ。血を拭いてんだよ」

「あぁ～。剣とかに使うと拭かなきゃいけないんだよな～」

「こいつらの血が付いたのをほったらかしにしてたら威力が落ちるし、何よりあいつが五月蝿い」


青年は嬰治の言葉に笑いながら相づちをした。嬰治は拭き終えると、立ち上がり青年に言った。


「そろそろ警察が動き出す。帰るぞ」

「了解！他の奴らには俺が伝えといたから！」

「分かった。じゃあ行くぞ」


嬰治達はその場から帰って行った。