「そんなに緊張しなくても良いのよ、美香」 隣に座った母が笑った。 「緊張なんか…してません」 今日、このレストランは相手の家が貸切にしたらしい。 かなりのお金持ちだろうなー。 「お母様、お相手はどんな方なんですか?」 「そうねぇ~…あ、来たみたいよ」 母は立ち上がった。 あたしもつられて立った。 もしこれがマンガだったら奏が現れるんだろうな────… そう思いながら開いたドアを見た。