「……アンタ、誰。」



最後まで迷った俺が話せる、限界の言葉。



でも、君は、とてもめんどくさそうな顔で、


「アンタこそ、誰。」



って返したんだ。




その時、俺は、
自分から誰かに話しかけたという事実に



何故だか、深い悲しみを覚えた。





結局、君からは"琴音"って名前だけ聞いて、すぐに屋上から出たんだ。



これ以上、自分が他人に心を開くのが






許せなかった。