「あら、潤坊ちゃま、今お帰りでございますか?」


数歩歩いたところで、潤の家政婦がくる。


「あら?潤坊ちゃま、その女性は…」

「彼女ですか?えぇ、先ほど一人で帰られていたので、危ないと思い送っていた途中です。」


そう、私は今、彼女ではなく…“赤の他人”…
それは、私たちが一緒にいるための、意味がある。


「そうなの、潤坊ちゃまはすごくおやさしい方ですね…ですが潤坊ちゃま、これ以上遅くなるのは、潤坊ちゃまが危険になります。どうぞ、家にお入りください。ここからは私がお送りしますので…」

「…そうですか、ありがとうございます、斉藤さん。」

そういうと、潤は、ううん、違う…
東馬財閥の社長のご子息は、家の中に入っていった。

東馬財閥は、この日本に誇れる有名スポーツ会社。
そんなところの長男潤。

庶民の私が…つりあうはず、ない…



だから、お互い好き同士なのも、付き合ってるのも秘密…

秘密なんだ…


「では、行きましょう…」

「…はい、わざわざありがとうございます。東馬さんにもお伝えください。」

「はい。」


そういって暗い夜道を潤の家政婦の一緒に歩く。


「アナタは、潤坊ちゃまの彼女とかではないですよね…ずっと前からですよね、一緒に帰ってるの…」

「…はい、道が一緒でよくお会いするのです。」

「…ご自分の身分をちゃんとわきまえてください。潤坊ちゃまは我東馬財閥の後継者なのですから、」

「はい。存じております。」



これが、

私と潤との大きな溝。



それでも一緒にいたいと思う。



説明できないほど、好きだから。